森の恵み
森林を歩き森林の雰囲気に触れながら健康づくりをする森林浴が最近盛んです。
森の中へ入ると爽やかな気分になり、それまで溜まっていた疲れがとれて体に安らぎを覚えます。森林の空気の中には、木や草が放出するフィトンチッドが含まれています。フィトンチッドは森の空気を清々しく、美味しく、健康にしてくれます。
フィトンチッドとは植物から放出され他の生物の生活に影響を与える物質、言わば生活活性物質の総称です。フィトンチッドの効果はロシアをはじめとする各国で研究され、人体にも好影響があることが分かってきました。肝臓の活動を高める酵素の活性化、香りによる清涼効果、生理機能の促進など数多くの効能また森林が生み出す空気は新鮮で木々の香りと共に二日酔いや体調が悪い時の頭痛、吐き気も軽減してくれます。さらに渓流や滝のある森林では空気中にマイナスイオンが充満しています。空気清浄機では人工的にマイナスイオンを発生させていますが、森の中にはまさに天然の空気清浄機と言えます。
森林浴も最近では、日光浴や海水浴と並んで私達の暮らしの中にしっかりと定着してきました。フィトンチッドは体をリフレッシュさせるだけでなく、抗菌・防虫、消臭などのさまざまな働きがあります。
リフレッシュ効果
自立神経の安定に効果的と言われ、快適な睡眠をもたらします。
消臭・脱臭効果
森に行くと悪臭の原因となる動物の死骸や枯れた木などがあるにもかかわらず、爽やかな空気が広がっています。森には空気を浄化したり、悪臭を消す働きがあります。こうした消臭作用は身近な生活臭にも効果的です。
抗菌・防虫効果
食品への防腐・殺菌をはじめ、部屋や浴室のカビ、家のダニなどへの防虫にも効果的です。抗菌作用は、人体を蝕む病原菌にも効果的です。人にやさしい天然物質ですから、副作用の心配がなく穏やかに作用します。
木や木の葉は、食べ物の保存に使われています。例えば、お寿司屋さんのカウンターは昔から「桧」が使われてきました。桧に含まれる成分が抗菌作用を促がします。また、ガラスケースの中のネタの下に敷かれている「椹」(さわら)は、見栄えだけでなく椹に含まれる成分で酸化(腐敗)を防止しています。
お刺身を食べる時、お寿司の中に入っている「わさび」や お茶の中に入っているカテキンの成分にも抗菌作用があります。
日本酒の樽に杉材を用いるのは、木の香りが風合いと味を醸し出すだけでなく、防腐効果のためもあります。
「総ヒバ造りの家には、3年間は蚊が入らない」とよく言われますが、こうしたヒバ・桧・杉などの木材は、木が白アリ、ダニ、蚊などを寄せ付けない成分を放出しているからです。
このように森林は昔から、私達の生活に深く関わってきました。